第三十九章 ■日増しに上がるディキシーサミットの人気■ |
5月20日にサクラメントに到着して色々なステージで演奏してきたが、日増しにディキシーサミットの人気が上がっていくのが分かる。ステージからステージえの移動の時など良く観客とすれ違うが、必ず 「Dixie summit very good thank you very much for good music」等と色々と声をかけてくる。英語がよく分からないがその身振りや笑顔でだいたいが想像できるものである。 また5月27日から来ている日本からの応援ツアーの人たちも、ミュージシャンではないのに 「Dixie summit very good 」と声をかけられ、 「自分のことのように大変うれしい」と言っていただけた。 フェスティバル初日の夜三回目のステージは、オールドサクラメントの目抜き通りにあるハイアットホテルの中にあるボールルームだ。 私たちの前に演奏しているバンドは、アメリカ南部スタイルのブルースバンド。 客席を見渡すとわずか二、三十人しかいない。時間はすでに夜の8時半。この後すぐ私たちの演奏にはいるわけだが、 「この二、三十人のお客さんの前でやらなくてはいけない」と思うと少し寂しくなってきた。しかしバンドチェンジの時間が30分あるので、 「何人かでも客さんが増えてくれれば」と、願うばかりだ。これが日本ならば少しでも何か手の打ちようもあるのだが、ここは知り合いの一人もいないサクラメントだ。 「なるようにしかならない」半分あきらめの心境だ。 ブルースバンドが終わり、でステージ交代のために楽器をおろしたり上げたり忙しくセットチェンジにつとめる。 ふと客席に目を向けるとゾロゾロと客が入場している。なんと私たちのバンドを聴きに客が詰めかけている。 「奇跡としか思えない」信じられない気持ちで客席を見つめていた。 なんと本番初日の夜のことだ。今日、前二回のステージの評判が良かったようで、口コミで客が集まってきたのだ。 「よし、やるぞ!」闘志がわいてきた。 「絶対に喜んでかえってもらおう」しかし問題が一つある。今日すでに、ここが三カ所目だ。私たちのバンドを聴くのが二回目という客もいるはずだ。 「困ったな、英語のコメントを一つしか持っていない」同じコメントを聴かせるわけには行かない。だからといって急に別のコメントがしゃべれるわけではない。さあどうする。 カンペを書いてそれを読もうか、読むまいか・・・。 |
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