第四十八章
■上を向いて歩こう
 
 15才でトランペットもって40年。まさかアメリカ人の前でジャズをやるなどと言うことは夢にも思っていなかった。人生、常に今演奏している曲名ではないが
 「上を向いて歩こう」
 ステージ時間も45五分を過ぎようとしている。すべての曲が終わり今日のためのコメントを読み上げた。
 「Thank you !
We have had a great time at the Sacramento jazz jubillee,
You have been a wonderful audience
We hope you enjoyed Dixie summit
We will see you next year」

 「ありがとうございました。私たちはサクラメントジャズジュビリーですてきな時間を過ごしました。あなたたちはすてきなお客様です。ディキシーサミットの演奏を楽しんで頂いたことと思います。来年もお会いできるでしょう」

 何かが爆発でもしたのかと思った。
  「ウォー」といううなりとも、「ゴォー」という地鳴りにも近い歓声と拍手に包まれた。
「フー、これで終わった、役目は果たした」日本のコンサートでは味わうことのできない達成感だ。心の底から、
 「Thank you very much!」・・・「ウォー」
 「See you next year」・・・「ゴー」
 「Dixie summit from Japan」
観客は総立ちだ。こちらアメリカでいうスタンディングオーベーション、3,000人近い観客が拍手とともに総立ちだ。
再度「ありがとう」「ありがとうございました」日本語でマイクに向かって叫んだ。
 「そうだおれは日本人なんだ」
 「See you next year」これが今年最後だと思うと、のどなんかつぶれてもいい、腹の底から
 「どうもありがとう、どうもありがとう、どうもありがとう」叫ばずに入られなかった。 それは声というよりも動物が吠えているといった方が良いかもしれない。体中に感動が走る
 「やった−!」ジャズに携わって40年。
 なんだか、この日のために今までがあったような錯覚に落ちいった。
 拍手と歓声はなりやむことはがなかった。
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